「……本当に、俺なんかでいいのかよ」
 ティアは俯いたまま小声でそう言った。
「なんか、じゃない。君がいいんだ。私がこんなにも一緒にいたい、と思ったのは何をかくそう君だけだからね」
 そう言うとティアの背に手を回し、ぎゅっと抱きしめた。



「ああ、こんなにも君の背中は小さかったのか。こんな小さい背中で、身体を張って戦っていたんだな」
 初めて触れたティアの背中。彼女の背は普通の少女のそれとなんら変わりは無い。戦場での彼女の背は、あんなに大きく見えていたのに。
 慈しむように、そっとツァウベルンの掌が背を撫でる。

 胸から、感情があふれ出し、堪えられずティアはツァウベルンの胸に顔を埋めた。
「っ……馬鹿っ……」
 なぜか解らないけれど、目から涙がどんどんと溢れ、雫が頬を伝って。
 彼の体温を感じ、何故か解らないけど気持ちがあふれ出し、止まらない。
 慈しむように、ツァウベルンはゆっくりとティアの頭を撫でた。
「君の泣き顔なんて初めて見たよ。私は、君の色んな顔をもっとたくさん一番近くで見ていたいんだ」
 と言うと、そっとティアの顔を上向かせた。
「悪趣味なこと、言うな」
 ごめんね、と小さい声とと共に額に口付けが振ってきた。


「全部、可愛い。好きだ」
 この胸に生まれる感情に、こぼれそうな気持ちが溢れそう。
 いっぱいいっぱいになって、ティアはぎゅっと硬く目を閉じた。

「私以外の男の前で目を閉じてはいけない」
 唇に触れるのは、温もり。
 一瞬触れて、すぐに離れた。
「君の唇に触れる権利を私が独占してもいいかい?」
 
 真っ赤な顔でティアはツァウベルンを見上げ、言った。
「そんな物好きお前しかいないし」
 ああ、という言葉と共に再びの口付けが。
 

 月明かりの下瞼を閉じると、自分の世界が違う色に確かに変わった。



「今更だけど誕生日おめでとう。これからずっと一番最初に祝うのは私だからね」




*end(ツァウベルン)*


何故だか一番初めに書いたのはツァウベルンさんでした。
年上×年下のようなかんじが結構書いていてたのしかったです。次も頑張ります。

[09年 3月 8日]